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第1章 異世界の神初心者ですがよろしくお願いします
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異世界の神になってちょっと立地見るだけ

16. 終息

『兄さんばっかり勝って全然面白くない!』

 妹とゲームで遊ぶと、妹はいつもそう言って怒った。
 でも、手を抜いてやると、「手加減されて勝っても嬉しくない……」って言われるのだ。どうすりゃいいんだよ、とは思うけれども、それでも妹の気が済むまで相手をしてやった。
 受験が終わった頃の話だ。
 テレビゲームにかぎらず、カードゲーム、ボードゲーム、いろんなゲームで遊んだ。
 けれども、ゲームを一緒に遊べば遊ぶほど、妹の機嫌は悪くなったよね。
 妹の好感度が全然上がらなかったというのは、そういう話だ。
 俺は勝っても負けても妹と遊ぶのは楽しいしそれで満足なところはあるんだけども、妹はそうじゃないらしい。

『兄さんとそのゲームをやるの、もうイヤ。いつもだまし討ちするんだもの』
『兄さんはデッキにそのカード入れるの今後一切禁止』
『兄さんって本当に意地が悪い。学校で友達いないんじゃ?』

 友達いないとか言うなよ。
 いないけど……。

 思い返せば思い返すほど、妹と仲良く楽しくゲームをした記憶というのがない。というか、俺の好み上、家にあったのは渋い戦略ゲームとか戦術ゲームの類が多かった。中高生にはちょっと難しいやつで、中学生の妹には難しすぎた。
 でってことでテレビゲーム以外でも遊んでみたりもしたんだけど。
 ボードゲームやカードゲームも結構種類が揃ってて、初心者から上級者までが一緒に遊べるようなものもそれなりにあったんだけど、そういうのにしたってふたりっきりで遊ぶと、どうしても俺ばっかりが勝つことが多かった。
 要は、妹が単純にゲーム下手で弱かったんだよな。

 だから俺の性格が悪いとか、腹黒いとか、底意地が悪いとか、陰湿だとか、性根が腐っているとか、そういうのはだいたい妹の被害妄想だ。
 そのはずだ。
 そのはずですし……。

「トールさん?」
「ああ、なんでもない。ちょっと考えごとしてた」

 ……ちょっと気になったので聞いてみることにした。

「俺って、性格悪いかな」
「えっ」
「あ、いや、やっぱなし。なしで」
「? 変なトールさんですね」

 性格悪いって言われたら立ち直れなくなる自信があるからな。
 知らないほうがいいことは世の中にはたくさんある。

 さて。

 結論から言おう。
 戦局はあれから泥沼化することなく、終息へと向かった。

 泥沼化するって分かったら、マジャロヴャルキはあっさり退いた。
 それは想定通りだ。
 マジャロヴャルキは、勝てない戦はしない。
 何度も言っているように、勝てる戦いだけを戦って勝つから常勝なのだ。
 だからマジャロヴャルキは強い。

 だが逆に言えば、勝てない戦、あるいは勝ちにくい戦に持ち込めば。
 損益の均衡が損に傾けば、撤退も視野に入る。
 損を最小限にするために益のない戦いを行う……というケースもあるけれども。
 何にせよ、戦争を続けるのしんどいなーという空気になれば、相手に剣を収めさせることができる。
 守備側の目的は、陣地の防衛。これを達成すれば勝利だ。負けなければ勝つのだ。

 なんだけれども、ニルシュヴァールの戦力でそこまで持っていくのはまず無理だ。
 でも、ニルシュヴァールだけで戦わなきゃいけない道理なんてどこにもない。
 自分たちだけでできないことは、誰かにちょっと手伝ってもらえばいい。
 そこでアンテルンに協力をお願いした。
 お願いしたのは物資の輸送だけだけれども。
 輸送の護衛に傭兵をお借りした。正規軍は動かせないからね。しかし護衛が傭兵なだけで、運ばれる物資はアンテルンからの正式な援助である。アンテルンの旗を掲げるのは道理だよね。
 ただ、同じ旗を掲げた勢力との武力衝突があったせいで、、戦争に巻き込まれてしまったので、結果的には介入する形になった。
 アンテルンは、軍事的にも経済的にも強大だ。
 だから小規模な軍勢でちょっかいをかけてくるのならまだしも、大軍を率いて本気で攻勢をかけてくるなら、割に合わないって判断したわけだ。

 補給路に被害を受けつつあったというのもある。
 我々解放軍が何もしなかったわけでもないということで、それなりに戦況に影響を与えている。
 実際に被害は出ていないので、本当にそれなりレベルではあるんだけども。
 なにしろ、こちらは街道近くに陣地を作っただけ。
 なんだけど、急遽陣地が出現したので焦ったというのと、南西平原の戦いでこちらに負けているので、こちら側の戦力をやや過剰に評価してしまったらしい。

 補給路を叩く、とか言ってたけど、最初から叩くつもりはあんまりなかった。
 ただ、彼らが遊牧民族なら、前衛で苛烈な攻撃を浴びせながら、後衛は安全が確保されたルートをのんびり移動、という感じで進軍すると予想できる。
 もしそうなら補給路を叩くのは前衛を叩くよりも攻略可能性が高いなと思った。
 といっても、少数の軽騎兵部隊で哨戒して、いつでも補給部隊を援護できる体勢を作ることを「安全を確保する」というので、言うほど容易いことではないんだけど。

 哨戒は手薄だった。
 そうなるように仕向けたからだ。うまく行ってくれてよかった。
 哨戒が手薄だったのは、アンテルン軍が介入してきたので浮足立っていた、というだけのことだ。アンテルン軍に介入してもらえたのはだったね。

「でも、アンテルン側に実際に被害が出ちゃってますし、それって、ニルシュヴァールの……というかわたしたちのせいですよね……」

 シャルは震え気味に不安を漏らす。

「大丈夫か大丈夫じゃないかで言うと、まああんまり大丈夫じゃない。でも、そのあたりを解決するために、俺たちはニルシュヴァールに向かってるわけで」
「はい、それはわかってるんです。わかってるんですけど、わたしたちのせいでアンテルンからの補給部隊が襲われたって知られたらって思うと」
「まあまあ、きっと分かってくれるよ」
「だといいんですけど……」

 俺たちは今、戦後処理のためにニルシュヴァール城を目指して移動中だ。
 ニルシュヴァール解放軍の代表者はシャルなので、シャルが出向くのが道理である。俺は付き添い。

 戦後処理……といっても、ニルシュヴァールとマジャロヴャルキとで休戦協定を結ぶとか、そういう類ではない。
 防衛戦争で、領土が増えたとか、戦利品があるとかでもないので、領土や戦利品の分配が行われるわけでもない。
 援軍の派遣にかかる費用は諸領主持ちなので、ニルシュヴァール領で負担する必要はない。そういうものの整理もいらないってことだ。
 そもそも、ニルシュヴァール領の戦費の精算に、ニルシュヴァール解放軍がかかわることは何もないんだけど。
 ニルシュヴァール解放軍は、義勇軍だ。
 ニルシュヴァール軍から予算が降りているわけじゃない。もろもろの物資は自分たちで調達したし、食糧などは自分たちの備蓄を持ち寄った。
 戦費は自己負担である。
 しいて言うなら、この戦闘に参加することで消費した物資や食糧は、本来はニルシュヴァール市に納められるべき資源である。これらをニルシュヴァールの市場で売って得た金で、ニルシュヴァールに税を納めるわけだから、これを消費するということは、ニルシュヴァールに納められるはず税金を消費するということとだいたい同じだ。
 けど、そういう話も、今回はしない。
 何をするのかというと、補償である。

「それにしても……被害、ひどかったですね」
「ああ、うん」

 城門をくぐり抜けて市街に入ったところで、シャルがぽつりと漏らした。
 城壁の外のスプロール地帯は、一面の惨状だった。
 焼け残った焦げた柱がそこかしこに立っている他、石組が崩れて散らばっていたり、見渡す限りの廃墟、廃墟、廃墟だ。
 打ち棄てられた廃墟とは違って、ついこないだまで生きていた感じがして生々しい。
 そこに住んでいたのだろう、呆然と立ち尽くす人、膝をついて悲嘆に暮れる人、いろんな人の姿が見える。
 一方で、倒壊した建物の残骸を取り除いて、新しく家を建て始める人の姿も見られる。
 聞くところによれば、死人も怪我人も出ていないらしい。攻める側としては、もぬけの殻だろうととりあえず建物を壊しておくのは有効で、それだけ復興が遅れるし、復興が遅れれば次に侵攻しやすくなる。
 占領する気があるのなら、話は別だけど。
 城壁の内側だけあればいい、という考えかもしれないので、なんとも言えない。
 城壁も、随分とくたびれていた。
 ただ、こっちはかなり活気がある。
 怒号が飛び交い、大勢の人間が走り回り、石材や木材が運び込まれ、トントン、カンカンと金槌が振るわれる音が響き渡る。
 城壁の補修作業が行われているのだ。公共事業で行われるので、人も金も優先的に投入される。
 スプロール地帯の方は、言ってみれば勝手にそこに住んでいるだけの人間の集まった街区なのだから、都市側で介入することはない。
 ただ、これを機に区画整理を行うというのはあるかもしれない。
 といってみたけれども、まあ、ないだろう。
 そんなに余裕があるとは思えないし。

 雑踏をかき分け、城を目指す。
 市内は、どうだろう。あんまり堪えた感じはないけれども。

「市内に被害は出てないみたいですね。街の人も元気そうです」

 見知った顔もある。解放軍に参加した市民だ。こちらに気付くと、手を振ってくれる。積極的に声をかけてこないのは、急いでいるふうなのが伝わったから、ということにしておく。

 よくよく考えてみれば、ニルシュヴァールは戦争に勝ったのだから、元気なのは当たり前だ。
 勝った気分でいないのは、俺と。
 隣にいるシャルくらいなのかもしれない。

 何しろまだ戦争は終わっていないのだから。

 目抜き通りを抜けて、段々と静かになっていく。この先、坂を登れば貴族街。そっちには用事はない。
 目の前にそびえ立つ城が目的地だ。

 さあ。
 最後の戦場に行こう。


「久しいな」
「その節はお世話になりました」
「前置きはよい」

 俺とミクシャ二世の会話に、凛と透き通った声が差し込まれる。

 ここは執務室ではない。
 会議室だ。
 長机の短辺側にミクシャ二世。その傍に秘書官が立っている。確かジュラとか言ったっけ。
 ミクシャ二世の左手側の席に、俺とシャルが着き。
 ミクシャ二世の右手側……つまり俺の対面に、今回のゲストが座っている。

「確か、トールと言ったな」

 アンテルン都市同盟所属オルファ=ソノラ市の代表、ルチエラ・デ・ラ=ドミナ=オルファ。
 歳は、たぶん二十半ばくらい。
 若い。代表としては別格に若い。背後には秘書官と思しき女性が立っている。こちらも若い。たぶん二十前半くらいだろう。
 一応、初対面じゃない。物資補給の要請を受け入れてもらうときに、一言二言話している。
 だいたいは事務方とのやり取りが主だったのだけど。
 金さえ払えば、事務的に処理できる。
 払ってないけどね。

「金を払う当てはあるから、物資の補給をお願いしたい。状況は一刻を争う——主はそう言っておったが」

 そう。後払いにしていただいた。

「払う当てとは、このことか?」

 その通りなんだけど、そのことについてこれから話し合おう、というのがこの席である。
 単刀直入すぎる。
 曖昧に苦笑しておこう。
 と思ったらすごい勢いて睨まれた。

 ルチエラ・デ・ラ=ドミナ=オルファ。
 美人ではある。百人中百人がそう言うだろう。
 ただ、俺は苦手だ。
 こういうタイプの人はだいたい苦手なんだよな。先輩といい。俺の妹も、十年するとこうなるんだろうか。考えたくない。いや、妹はあれで抜けてるから、こんな隙のない感じにはならないだろう。きっと。安心だ。

「なるほど、頼んでもいない補給物資が届けられたかと思えば、トールの差金であったか」

 安心してる場合じゃなかった。
 こういうときはシャルに助けを求めよう。

「不思議に思ってたんですよね。どうやってトールさんがアンテルンに物資を要請できたのか」

 ジト目でこちらを見てくる。説明を要求する目だ。
 四面楚歌!

「ええと、担保……そう、払えなかったときの話をしたと思うんですけど」
「ん? ああ、あれか」
「担保?」

 得心がいった顔のルチエラと、何の話だとるミクシャ二世。……と、話に加われなくて不満顔のシャル。

「物資の代金と、輸送にかかる費用。それから、事故が起きた際の補償だな。それらを払えない場合には、額に応じた債務を課すとする。そのように書面を交わしたんだったな」
「債務を、誰に課すと?」

 思わずといった感じで、ジュラが割って入る。
 切れる秘書官だ。
 お察しの通り、

「オルファ=ソノラが、ニルシュヴァールに」

 ルチエラが不敵に口元を歪めて言う。
 それから、こちらを見て笑った。

「なるほどな。主の独断か。面白いやつだ。例の偽旗といい、な」

 目が笑っていない。
 これは、この落とし前どうやって付けてくれるんじゃワレ、という意味である。

「払ってくれるなら、こちらは誰でも構わんさ」
「そのような金は我が領にはない」

 復興に金がかかる。

「では、債務を果たしてもらおうか」
「そのような取り決めをした覚えもない!」
「ほう」

 ルチエラは、目をめる。

「こちらは、軍を動かしても構わんのだぞ」

 ぐ、と言葉に詰まるジュラに、ミクシャ二世があからさまにため息をつく。

「よい。がなければ、我が領はマジャロヴャルキに下るところであった。余の首も、今頃はこの身体の上にはなかろう」
「話が分かるな。愚君と聞いていたが」
「この事態を招いたのは余だ。愚君に相違ない。それで? 債務の内容は何なのだ」

 ミクシャ二世が俺に尋ねてくる。

「土地?」
「どうして疑問形なんですか……」
「俺の土地じゃないし」
「土地……領地か?」

 ミクシャ二世の問いに、ルチエラが頷く。

「さよう。契約に基づき、アンテルン都市同盟オルファ=ソノラはニルシュヴァール領の一部をオルファ=ソノラへと割譲することを要求する」

 ミクシャ二世は、押し黙る。
 ジュラは言葉を失ったままだ。

「あの、少し訂正いいですか?」
「む、何か間違っておるか?」
「いえ。概ねそれで正しいんですけども。割譲といってもですね。ニルシュヴァールの領地の一部をオルファ=ソノラの所有にするわけではなくて、領地の運営権をオルファ=ソノラに移譲する、という話で」
「それを割譲と呼ぶのではないのか」

 ミクシャのおっさんはちょっと黙ってて。

「運営する権利はオルファ=ソノラにあるんですが、税を徴収する権利はニルシュヴァールに残ったままです」
「そのような話は聞いておらんが」
「契約ではそうなってますよ」

 ルチエラが後ろの秘書官に確認すると、秘書官が何事かささやいて返す。聞くなり、苦虫を噛み潰したような顔をする。
 どれだけ不満に思おうが、もう書面は交わした後だ。
 既に合意が形成されてしまっている。

「正確に言うと、年間一定の税をニルシュヴァールに納めることで、領地を借り入れることができる。そういう権利をお譲りする。それが、物資の補給にかかった費用を払えなかった際の債務です」

 いわゆる租借地だ。ただし期限はない。無期限、ということになるから、租界と呼ぶのがより正確だ。

「そうすると、どうなるんでしょう」
「領地としては、ニルシュヴァール領のままなんだけど、その管理や運営……つまり領地を治めるのは、オルファ=ソノラが行うってことだね」
「それは……少々こちらが有利すぎるのではないのか?」

 キツネにつままれたような顔で、ミクシャ二世が言う。
 こういう不平等な契約を結ぶと、後々問題になる。ミクシャ二世の懸念も、もっともなものだと言える。

 だが、ルチエラは首を振る。

「いや、こちらとしてはそれでも充分に恩恵がある」

 そう言ってくれると思っていた。
 実際悪い話ではない。一定額の税を納めさえすれば、後は自由なのだから。

「貴公らがそれでよいのなら、構わぬのだが……それで、貸し出す場所はどこになるのだ。ニルシュヴァール市街とは言わぬよな」
「まさか」

 それは事実上の占領だ。

「場所は、ワレシュティの森及びニルシュヴァール南西平原。具体的な領域の境界線は、別途地図で」
「ふむ。確かに、悪い土地ではありませんね。ですが、東部は山を越えてマジャロヴャルキの領域が広がっている。これでは、オルファ=ソノラは早晩今回のような事態に巻き込まれることになるのでは?」

 ジュラが懸念を表明する。

「アンテルンの軍事力なら、そうそう攻められはすまい」

 暗に、お前らが軍備を怠ったからマジャロヴャルキに攻められるんだバーカバーカ、と言っている。
 いや、俺がそう思ってるんじゃなくてね。たぶん、きっと、ルチエラならそう思ってるんじゃないかなあって、代弁してあげただけで……ほんとほんと。

 ニルシュヴァールにとって、これは悪い話ではない。
 言ってみれば、領地を貸し与えることで、安全保障を担当してもらおうってことだ。
 逆に言えば、無期限の租借地の貸し出しというのは、それくらい重い。
 ということを、ミクシャ二世もジュラもあまり分かっていないようだった。

「そうそう、もう一つあったのだったな」
「もう一つ?」

 そう警戒せずともよい、と気楽な調子でルチエラが言う。

「領事には、解放軍指導者シャルティレーエトを任命し、その補佐としてヤガーシ・トールをつけるものとする。これは契約に基づいて行うものとする」

 で、よいのだったな、とこちらへ目配せする。
 シャルがきょとんと首を傾げ、徐々に、眉尻が下がっていく。そうして、全部分かったようにはっと目を見開くと、ジトっとした目をこっちに向ける。
 だんだんシャルの好感度下がってる気がする。
 手を上げて降参の意を表明すると、シャルはため息をついて、疲れた声で言った。

「そういうことだったんですね」

 そういうことそういうこと。
 ここまで全部仕込みでしたって。

 横目でちらと伺ったミクシャ二世も、諦め顔を浮かべていた。ため息混じりに言う。

「領事ともなれば、こちらでその処遇を自由にするわけにはいかん……のだろうな」

 下手をすれば処刑ものだった。
 俺だけじゃなくてシャルも巻き込んで。
 だから、シャルがよく思わないのも無理ない。というか、もっと怒られてもしょうがないことなのだ。でも、シャルは、しょうがない人ですね、という感じで肩を竦めるだけで、なんというか、慈母のごとき寛容さだ。
 やっぱり天使だったんだ。

「では、ワレシュティの森及びニルシュヴァール南西方面を、ワレシュティ租界として、アンテルン都市同盟オルファ=ソノラの管理下に置くことを、ここに同意を求める。異議のあるものは?」

 ルチエラの宣言に、

「異議なし」
「異議なし」
「異議、ありません」

 ミクシャ二世、俺、そしてシャルが応じる。

 ニルシュヴァール領ワレシュティ租界。
 今から、ここが俺たちの国になる。

 長い長い立地見が終わって、ようやく神の仕事が始まるのだ。長かったね。

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